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 じっとこっちを見て城くんと話しながら微笑む先輩。  その優しい表情にまたドキッとする。  にこにこ笑う先輩は毎日のように見てきたが、こんな表情もまた初めて見る気がした。 「はい。では、失礼します」  ペコリと頭を下げた先輩がしばらくしてスマホを耳から離す。  そして、俺のスマホをベッドの下に置くとこっちを見てきた。 「返してくれるんじゃないんですか?」 「ったくお前は……余韻とかなしかよ」 「余韻?」  首を傾げた俺の肩に手をついて、先輩が俺の伸ばした両足を跨いでくる。 「お前のハジメテもらった朝だぞ?もっと照れたりくっついたり……ねぇの?」 「はいぃっ!?」  そんなことを言われて再びあの気恥ずかしさが蘇ってきた。  顔が熱い気がして顔を背けようとするのに、先輩は両手で俺の頬を挟んでしまう。 「タク、こっち見ろ」 「いや、ちょっ……待って下さい」 「ヤダ」  顔を寄せてきて先輩は俺の口に触れないギリギリにキスをしてきた。  こんなのどう反応したらいいのか。 「ほら、こっち見ねぇからキスできねぇよ?」  だって、見なくてもわかる。  先輩は絶対ニヤニヤと笑っている。  それでもそろりと先輩の方を向くと、先輩は軽く唇を合わせてフッと笑った。 「付き合うんだろ?とりあえずじゃねぇなら……俺はベッタベタに甘えたいし甘やかしたい」 「“お試し”ではなく?」 「何?まだ試してて欲しいのか?」 「嫌ですっ!!」 「なら……」  ゆっくり目を閉じて「ん」と強請ってくる先輩。  俺はその腰に手を回してしっかりと唇を合わせた。

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