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一緒にシャワーを浴びて、先輩が準備してくれた朝食を食べて手を繋いでアパートを出た俺たち。
マジでベタ甘。
正直、尽くすのが好きだと思っていたんだが、されるのも悪くないらしい。
ギシギシと音が聞こえる気がするくらい関節は痛いが、先輩はいっぱい擦ってマッサージもしてくれた。
そして、目が合う度に俺たちはキスをした。
今だって……目が合うと一応人目を気にしてから吸い寄せられてしまう。
バカップル……自分で思いながらも止まらない。
「ほら、タク座れるか?」
電車の座席に案内されてゆっくり息を吐いて座る。
だいぶ慣れたが、やっぱりまだ何かが残っているような気もして動きはぎこちなくなってしまった。
「ヤベ……かわい」
先輩は俺の横に座って俺の手を取ると頬を緩ませて指を絡めてくる。
俺たちの膝の上にはトートバッグがあるが……その下でこんなことをしているなんて、一体何人が気づいているだろうか。
異性であれば堂々とイチャつけるのかもしれない。
まぁ、俺自身はこのままかばんを退けて見せつけてもいいのだが。
「タク?大丈夫か?」
気遣ってくれる先輩がかわいい。
「幸せ過ぎて夢みたいです」
「ふふ、寝てもいいぞ?昨日だって結局そんな寝てねぇんだし。着いたら起こしてやるよ?」
「ヤですよ。先輩と居るのに寝るなんてもったいない!」
「何だそれ!」
笑いつつ、ちょっと嬉しそうな先輩。
握っている手に力をこめると、先輩はちょっと頬を赤くして微笑んだ。
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