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授業終わりに急いで『終わりました!どこですか?』とメッセージを送る。
そのまま慌てて片付けて俺は塾を後にした。
それでももう二十三時になってしまう。
走って駅に辿り着くとちょうど返信がきたところだった。だが、
「は?」
俺はその内容に眉を寄せる。
先輩は自分のアパートでも、その近くの駅でもなく、俺たちの地元の駅の側にあるファミレスに居るらしい。
平日の、しかも、週始めの夜から……なぜ?
電話をしようと思ったが、すぐに電車が来たのを見て急いで乗り込んだ。
すぐ行きます、と返信だけして窓の外を眺める。
既に明かりも消えた家も見えて何となく物寂しく感じてしまった。
あんな声の先輩を一人にしておくのが不安で、気持ちだけが逸 る。
「……先輩」
電車のドアに映った俺の顔があまりにも情けなくて、目を逸らした。
少し時間を置いて『大丈夫!むしろ、疲れてんのにごめんな!』なんて明るく気遣うメッセージを返信してきた先輩に『いいから待ってて下さい!』とだけ送る。
頭に浮かぶのはよくないことばかりで、とにかく今はただ先輩を想った。
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