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「……恋……人……?」
動揺を全く隠せていない父さんがカタカタと震える手でメガネを上げる。
そして、チラッと城くんを見て縋るような目をした。
「優希さん、落ち着いて」
城くんは手を差し出して父さんの手を握る。
そして、そっと隣に行ってその背中を撫でた。
二人の信頼しきったその空気はいつ見ても羨ましい。
「二人もちょっとこっちにおいで」
しばらくすると、城くんはこっちを見てから父さんをゆっくり立たせる。
俺と先輩は顔を見合わせて、そして、共に立ち上がった。
ダイニングテーブルに座らされた父さんの前に俺、俺の横には先輩、先輩の前には城くんで腰を降ろす。
「いや、反対とかされても俺は先輩とは別れねぇよ!」
「タク!」
「拓翔、落ち着け。誰もそんなこと言ってない」
沈黙に耐えられずに口を開くと、先輩の手が伸びてくると同時に城くんが俺を制した。
「優希さん。反対……ではないですよね?」
城くんが父さんの手を握ってその顔を覗き込むと、父さんはフルフルと首を振る。
「……わかんない」
その声は酷く掠れていた。
「拓翔、僕のせいか?僕が城くんと付き合ってるから……だから、お前も美玖ちゃんと別れて男に?」
眉を寄せたままこっちを見てくる父さん。
この訴えるような目は苦手だ。
「んなモン関係……いや、あるか?だから、男同士でも違和感ねぇし?」
フッと笑うと、先輩がまた横から肘をぶつけてきた。
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