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「部外者は黙ってろよ!」 「部外者はあんただよ。眞一郎」  唾を飛ばすほどの勢いで怒鳴る男の肩を先輩が押して距離を取らせる。 「あ?」  すかさず殴ってこようとする男の下腹に先輩は膝を入れて拳を目の前に突き付けた。 「奥さんも呼んでみんなでキッチリ話し合うって言うならノッてやる。でも、違うなら黙っててやるから帰れ」 「この……」  圧倒的な威圧感で制すると、男はギリッと歯を鳴らす。 「二度と連絡してくるな。次はこっちも奥さん……」  先輩が言い終わらないうちに男が手を振り回した。  咄嗟に先輩の前に出ると、ピリッと右の頬に痛みを感じる。 「タクっ!!」 「お、俺は何も……」  急に挙動不審になる男がやけに小さく見えて先輩を背にしたまま一歩前に出た。 「爪が……な?お前が急に出てくるから引っ掛かっただけで」  やけにピカピカのその爪は中指の先に血がついている。 「えぇ。溜まるどころか二度と勃たなくなれとは思いますが……」  頬に血の滲む感覚はあるが、ガンッと狭い通路の先にある柵にぶつかった男に更に詰め寄った。 「スマホ開いて先輩に関するもの今ここで全て消しますか?」  慌ててスマホを操作して消していく男の手元を見つめる。 「写真は?」  カマをかけたつもりなのに肩を組んでいたり、頬を寄せ合う写真が出てきてグッと下唇を噛んだ。  その先輩はどれも笑顔で、幸せそうで……だからこそ、二股も、あっさり切り捨てられたのも、先輩を深く傷つけたから。

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