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100、第13話「★愛させて」
「先輩、強かったんですねぇ」
「は?」
「ケンカ」
「あー……」
俺の腕の中で曖昧な返事をする先輩の顎を持ち上げて目を合わせる。
「何で逸らすんですか?」
「いや、別に……」
合わせているのにまた逃げようとするその顔を逃さないように額を付けてじっと見つめた。
「カッコよかったですよ?ちょっとゾクッとしました」
「……抱かれたくなったか?」
さっきまで隠れようとしていた癖にチラッとこっちを見て先輩がニヤリと笑う。
「いえ、むしろ抱きたいですが?」
「何でだよ!」
そのまま床に押し倒すと、先輩は軽く笑いながら俺の両脇腹を掴んできた。
「俺のモンって印付けたいから?」
見えている首筋にキスをして、更にTシャツの首元に指を引っ掛けて下げる。
「んっ」
鎖骨を舐めて軽く歯を立てると、先輩はピクリと反応を示した。
「バ、そんなとこ跡付けんなよ?」
グッと頭を押されて微笑む。
「どうしましょっかねぇ?園児たちに『蚊に刺された』って言い訳してみます?」
「やめろっ!」
首を傾げて笑うと、先輩は俺の腰に足を絡めてそのまま横に転がった。
「え?」
あっという間に上下逆転されて、先輩の柔らかい前髪が俺の顔に掛かる。
「腕っぷしで俺に敵うと思うなよ?」
余裕の笑みを見せる先輩を見て、いつだったか顔を腫らして学校に来て「璃央ちゃん、ヤバい男と付き合ってるみたいでな」笑った先輩を思い出した。
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