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109、第14話「邪魔すんな」
金曜日は先にアパートに行って夕飯を作る。
帰ってきた先輩を出迎えて一緒の時間をゆっくり過ごして、土曜日もほぼ泊まるようになった。
ただ、土曜の午前中は先輩は持ち帰った仕事、俺はレポートの作成やバイトで使うプリントの作成で色気は一切ない時間。
場合によっては夕方までそんなこともあって思わず愚痴ったのを城くんに聞かれて笑われたほど。
「それは健全でいいな!」
日曜日の夜、仕事終わりで夕飯を食べていた城くんはククッと笑う。
健全でいいな?
父さんのあのぎこちない動きを見れば昨夜はどれほど不健全だったかわかるのに?
パジャマ姿で現れた父さんを見て目を細めると、城くんはパッと立ち上がって俺の肩に手を付いた。
「優希さんをイジメていいのは俺だけだ」
ボソッと言われて呆れる。
嫌味くらい言わせろと思いつつ、俺もせめて先輩の声が聞きたくなってリビングダイニングを後にした。
階段を上がってすぐにある部屋に入る。
ベッドに腰掛けて、見えた時計の示す時刻……もう二十二時を過ぎていて俺はスマホを枕元に置いた。
先輩はもう寝てしまっただろうか?
ため息を吐くとスマホが鳴って耳に当てる。
『寝る前にタクの声を聞こうと思って』
本当にかわいいことを言うこの人。
『おやすみ』
「おやすみなさい」
これだけで幸せ過ぎてどうしたらいいのだろうか。
そんな、平穏な日々が訪れたと思っていた。
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