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どうしてこんなことに?
今すぐに先輩を連れて帰りたい気持ちとここで春樹先生のこともしっかり解決しておきたい気持ちが交差する。
連れて来られた意外とオシャレなイタリアンレストラン。
俺は隣に居る先輩を見つつ、目の前で微笑んでいる先生を警戒していた。
本当は学年で打ち合わせという名の親睦会の予定だったが、三クラスあるうちの一クラスの先生が体調不良で帰ってしまったらしい。
そんな食事会があることも聞いていなくてショックではあったが、それで先生と先輩が二人きりで食事だなんてもちろん許せる訳がなかった。
ギュッと手を握ると、先輩が困ったようにこっちを見る。
「まぁ、ひかり先生のキャンセル分は拓翔くんが来る?」
そう言ってきたのは春樹先生だが、それが余所行きの笑顔で俺自身は顔を引くつかせてしまった。
「いいんですか?」
なのに先輩は嬉しそうに笑って「やったな!」なんて、こっちにかわいい笑顔を見せてくる。
そのせいで断われなくて俺は先輩と先生……という天国なのか地獄なのかよくわからない食事をすることになった。
電話に出た父さんからは「関わるなって言わなかったか?」とかなり呆れられたが、考えようによってはチャンスでもあるから。
「健太先生、このカルパッチョ美味しいですよ」
笑って取り分けた先生をどうしても睨んでしまう。
先輩はこんな洒落た店より居酒屋が好きだ。
そんなカルパッチョよりとじゅわっと油の広がる唐揚げが好きだ。
知らないんだな……そんな優越感に浸るのも少し虚しい。
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