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「きみたちを見ていると羨ましくもあり、愚かでもあると思いますよ」
言いながら先生は机に頬杖を付く。
ケンカを売っているのかと問いたいが、切なげなその顔を見てしまって言葉を飲み込んだ。
「優希さんに振られなかったら拓翔くんは息子になっていたかもしれないのにね」
何でそんな顔をする?
先輩の前だからか?それとも……
「タクが息子に?優希さんに振られてるって……」
「そのままの意味ですよ。本気だったんですけどね。……それこそ好きな人と子供まで居るなんて理想だったし」
俺に向けてくる顔に鋭さはない。
父さんに対する気持ちは本当なのかもしれないとも思うほどに。
まぁ、先生が親とかごめんだが。
「父さんと城くん を引き離せる訳ないですよ……」
「うん!あの二人の絆は凄いよ!」
頷く先輩と目を合わせると、先生は笑い出した。
「きみたちもそうだって?」
「はい!」
言い切ると先生は声を出して笑う。
「若いな」
「先生だってまだ若いですよ」
「俺はもう三十五だけど?」
「父さんが城くんと付き合い始めたのは四十一です」
事実を言っただけなのだが、先生がピタリと笑い止んでこっちを向いた。
その姿に嫌な予感しかしない。
「……じゃあ、俺も四十一まで諦めずに健太先生を口説き続けるか」
「ダメに決まってるだろっ!!」
フッと笑ってもう冷めたピザを手にした先生に言っても、先生はただ笑っていた。
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