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開き直ったのか、先輩の前でも素を出しつつ堂々と口説き始めた先生。
もう拉致があかなくて食事を終えたのに、今度は……
「俺のマンションここから近いから……来る?」
そんなことを言ってきてぶん殴ってやりたい。
「行かないですよ!酔い過ぎです」
先輩はこの先生を本当に酔っているだけだと思っているのだろうか?
気にせず帰ろうと言っているのに笑いながら相手をして、せめてタクシーに乗せると聞かない先輩。
ため息を吐いてタクシーの到着を待っていると、見慣れた車が目の前に停まった。
「城くん!?」
「おう!乗れ」
「でも……」
チラッと先生を見ると、城くんは軽くため息を吐いて車から降りてくる。
「相変わらずだな、お前」
「……」
現れた城くんを見て小さく舌打ちした先生はふらりと立ち上がった。
「邪魔すんな」
「お前がな」
ピリッとした空気。
城くんのこんな冷たい顔は初めて見たかもしれない。
「相変わらず人のモノにちょっかい出して……懲りないな」
「うるさい。貴様に言われると余計に腹立つ」
「……でもな、健太くんはタチだぞ。お前、掘られる覚悟あんのか?」
「は?……」
パッと先輩を見てからゆっくりこっちも見た先生に笑ってやる。
「……すいません」
ちょっと照れたように笑う先輩を見て、先生はガックリと肩を落とした。
こんな撃退法があったとは思いもしなかった。
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