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「あ……も……ヤダぁ……っ」  ボロボロ涙を流す先輩を抱き寄せてこっちを向かせる。  その涙を舐めとってキスをすると、ギュッと先輩は俺の頭を抱き締めてきた。 「バカタクっ!……早く挿れろよぉ」  もう泣いているその姿がかわい過ぎてそんなのすぐに突き挿れてガンガン揺さぶってやりたくなる。  それでもグッと堪えて上半身を起こすと、先輩を見つめて微笑んだ。 「気持ちいいでしょう?」 「良過ぎて辛い!」  噛みついてくるような先輩にもう一度ゆっくりキスをする。  足を絡められて笑うと、俺はため息を吐いた。 「先輩?」 「いいから挿れろ!」 「……仕方ないなぁ」  苦笑いをしながら両膝を抱えてゆっくり埋め込む。  顎を上げて吐息を漏らす姿は愛おし過ぎて、思わず一気に貫きそうになった。  堪えて少しずつ進めると、先輩も息を吐いて切なげに眉を寄せる。  長い時間をかけて解した内壁はキュウキュウと締め付けてきて意識していないとすぐに達してしまいそうだった。 「大丈夫ですか?」  一度動きを止めると、先輩はもどかし気に俺の頬に触れてくる。 「いいから……壊す気で来いよ」 「イヤです」 「は?」 「思いっきり愛するならいいですよ?」  余裕はないのにカッコはつけたい。  もう苦しい記憶さえ塗り替えたかったから。 「辛くさせたくはないんで」 「……バカ」  先輩は涙で濡れた顔をこっちに向ける。  そして、キスを強請ってからふわりと笑った。

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