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 何となくフワフワしたままデザートの和栗のモンブランと梨のジェラートを食べて一息吐く。  だが、城くんは更にアイスワインなんてよくわからないものを飲んでいてそれが恨めしい。 「……俺も飲みたい」 「止めとけって」  プゥと頬を膨らませると先輩に水を差し出された。 「酒飲めるようになったのにぃ」 「はいはい」  何となく赤いような先輩の頬に手を伸ばすと、先輩は少し微笑む。 「俺も酔っちゃうからさ、一緒にこれ飲まね?」 「……飲む」  ただの水。  でも、曇り一つないピカピカのグラスに入っていて先輩と一緒に飲むだけで、何よりもうまい飲み物な気がした。   「うーん……お酒の弱さだけ僕に似ちゃったか」  父さんは紅茶を口にすると、城くんはくすくすと笑う。 「スパーリングワイン二口でほろ酔いですからねぇ」 「城くんは大丈夫?」 「スパークリングワイン、白ワイン、ロゼワイン、赤ワイン……で、このアイスワインだけですよ?余裕で喰えます」 「なっ!!」  イチャつく二人をじっと見てやると、父さんはそれに気付いてバシバシと城くんの腕を叩いた。  そんな父さんに微笑んで城くんはこっちを向く。 「ほら、二人にプレゼント」  差し出された淡いピンクの封筒をただ見つめてしまった。 「いらねぇの?それなら俺が優希さんと使うけど?」 「い、要る!!ありがと!」  わからないまま受け取ると、先輩も深々と頭を下げる。 「一緒に初めてのお酒は飲んだからな。あとは二人でゆっくり」  ウインクする城くんの意味はわからなかった。

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