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第4話
壮五は結心を風呂場に送り、着替えを持って脱衣所に置いた。
そして部屋に戻り、あの男には明日出ていってもらおうと決める。
帰宅途中に考えていたのだ。
結心は『遂に男にまで手を出したのか』と言われていた。
つまり、色々と遊び歩いているのだろうと思うし、なんなら別れたマコちゃんではなく、アミちゃんの元に行けばいい。
今日ここに泊めてあげるのはただ、介抱してくれたお礼というだけ。
それにしては高い気もするが、まあ仕方がない。
「お風呂いただきましたー! ありがとぉ」
「うん。ゆっくりしてて、俺も入ってくるから。」
「はーい」
結心は軽く返事をすると、ソファーに座ってスマホを弄り始め、壮五はそんな彼を一瞥してから風呂に入った。
風呂から出ると、結心はさっき見た体勢から何一つ変わらずそこにいた。
そんな彼と少し距離を空けてソファーに腰を下ろした壮五は、「あのー……」と俯きながら声を掛ける。
「ちょっと話したいんだけど、いい?」
「話? うん。いいよ」
「あー……言い難いんだけどさ……」
ちゃんと伝えるために、壮五は顔を上げた。すると何故かもう少しで触れてしまうというまでの距離に、結心の顔がある。
驚いて目を見開いた壮五に、結心はニッコリ笑うと突然唇を重ねた。
「っ!? な、にすんだよっ!」
壮五は慌てて結心を突き飛ばす。
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