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第6話
「っ、」
「ね、俺ね、男の人は初めてなんだけど、多分いけるよ。」
「は……何……?」
結心の言葉の意図がつかめず、壮五は戸惑って繋がれた手を見る。
「お兄さん、思い詰めすぎ。人を好きになることって良い事だよ。その性別が異性でも同性でも、それは変わらない。」
「何言って──」
「大丈夫だからさ、目閉じてみなよ。」
甘い声だった。それには少し色気があって、壮五は彼に言われた通り不安に思いながらも目を閉じる。
そうすればぬるい体温が体を包んだ。
「っ、は、」
「ハグしてるだけ。怖がらなくていいよ、大丈夫。」
心臓がドキドキする。それでいて自分よりもガタイのいい相手に少し安心した。
暫くそのままでいると、今度は唇にまた柔らかい感触。キスをされているとわかったけれど、さっきのように突き飛ばすことはしない。
「口、開けて」
「ん、ぁ……」
とろりとした声に誘われ、口を薄く開ける。
そうすれば口内に結心の舌が入ってきて、驚いて結心の服を掴んだ。
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