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第7話
「大丈夫、力抜いて」
「っ、ふ、は……ふぅ……ン……!」
口内を蹂躙される。
初めてなので少し苦しいのに、何故か幸せを感じて、気付けば壮五は結心に応えるように舌を絡ませていた。
唇が離れると、結心はふんわり微笑んで、ボンヤリしている壮五の頬にチュッと触れるだけのキスをする。
「──それで、話って?」
「ぁ……」
そして急にそう聞いてきた。
壮五は頭が回らず、結心に手を伸ばして胸元に凭れかかる。
もう少しキスがしたかった。
「っ、い、家、無いって……」
「ああ、うん。家ね。無くなった。帰る場所ないんだ、俺。」
結心は優しく壮五の頭を撫でる。
こうして人に甘える心地良さが、警戒心や正常な考えを奪っていく。
「あの……見つかるまで、ここに居ていいよ。」
思考力が落ちたまま、壮五はそう言ってしまっていた。
結心は心の中でニンマリ笑う。『かかった』と思って。
「ほんとぉ? 嬉しい。ありがとね」
「……でも、なるべく早くね」
「うん。」
ぬるい体温が壮五の拠り所になってしまった日である。
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