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第26話

フリーターの結心は、そろそろアルバイトではなく正社員として働くべきなのかと悩んでいた。 そういうことを壮五に言われた訳では無いのだが、将来のことを考えると少し不安に思えてきて。 「え、正社員? 結心が?」 「うん。ちゃんと仕事した方が、将来は安心かなって。」 「あ、えぇ……何かあった? そりゃあ確かに正社員になった方が年金とか……なあ?」 「……でも、何をすればいいかわかんない。」 結心はご飯を食べる壮五を背後から抱きしめながらそう話す。結心は先に食べ終えたので、このあと皿洗いをするまで暇なのである。 「したい事ないの? 小さい頃の夢とか……」 「夢……? んー、無いなぁ。」 結心は幼少の頃から寂しい環境で育った。 物心ついた頃から母親はおらず、父親は借金をこさえてばかり。そのうち父親も消え、家が差し押さえられてからは、遊び相手の家を転々として生きてきた。 なので夢も希望も何も無かったのだ。 苦痛を感じないのなら、いつ死んでも問題は無い。 その為、仕事もせずに、フラフラしていたわけである。

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