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第39話

■ 「暫くセックスしたくない」 「はぇ……?」 翌朝、壮五は怒っていた。 ベッドから動けない。それ程体が怠い。 「ぇ、なんで……?」 「『なんで』!? え、マジで言ってんの? わかんないの?」 結心は本気で意味がわからないようで、キョトンとして小首を傾げる。 壮五は枕を掴み、それを思い切り結心に投げ付ける。 結心はヒョイっとそれを躱して「どしたのよ」と何も無かったかのように聞いた。 「〜っ! 俺は、やめてって……無理って言った……!」 「え〜?」 「自分勝手にするなら、暫くシたくない……。」 段々と声が小さくなっていく。 壮五は結心と目も合わさずにいたのだが、結心がズンっと傍に寄ってきて無理矢理視線を合わせてきた。 「!」 「でもさ、壮ちゃん、ああいうの好きでしょ?」 「な……っ!」 「だってね、中キュンキュンしてたし、ああやって追い詰められるくらい気持ちいいの、正直堪んなかったでしょ?」 「っ、」 結心の言葉を壮五は否定できなかった。 なぜなら壮五はこれまで、恋愛をしたことがなかった。 知識だけはあった方がいいと恋愛漫画を読んだり、それこそボーイズラブものを見たこともある。 そこで結構な頻度で激しく抱かれるシーンを見た。 正直言って、憧れではあった。 苦しいくらい気持ちいいのって、どんなのだろうと。 何も言えなくなった壮五は、結心をキッと涙目で睨みつける。 「あは、か〜わい〜!」 「ンっ!」 結心は壮五に濃厚なキスをして、彼の大好きな上顎を優しく刺激した。 そうすれば壮五は簡単にトロトロになったので、結心はムフフと笑って「そーうちゃん」と名前を呼ぶ。 「俺とのエッチ、好き?」 「ん……好き……」 壮五が甘えるように結心の首に腕を回す。 「キス、もっとして」 「うん」 結心が壮五に覆い被さる。 その日一日、二人はベッドの上で過ごした。

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