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第45話

結心は目をパチパチさせる。 それがどういう感情からの言葉かが分からなかったから。 「え、っと……それは、嬉しいの?」 「は? 嬉しくない。帰ってきて『ただいま』って言った時に返事が無いって事じゃん。」 「おぉ……」 「一人暮らしの時は何とも思わなかったけどさ、帰ってきた時に好きな人に『おかえり』って言って貰える良さを知っちゃったら、なんか寂しい気もする。」 「おお……! 壮ちゃん可愛い!」 壮五の言葉に結心は嬉しくなって、ニコニコニコニコ笑っている。 壮五は素直に話していただけなので、何をそんなに嬉しそうに……と自分の言った言葉を心の中で言い直し、顔を赤く染めていく。 『好きな人』とか言ってしまった。何の恥ずかしげも無く。 「じゃあ俺も帰ってくるのが遅くなった時は、壮ちゃんに『おかえり』って言ってもらえるんだねぇ。」 「……嬉しい?」 「うん。嬉しい。」 二人は視線を絡めると、どちらともなくキスをする。 「結心に合う仕事だといいな」 「うん。壮ちゃん、もう一回キスしたい」 「え? ハハ、うん。しよう」 唇を重ねるとそれを割って、結心の舌が壮五の口内を蹂躙した。 壮五はゆっくりとソファーに押し倒されながらキスに応え、服の中に手が入ってくるのも『まあいいか』と思って好きにさせる。 「壮ちゃん」 「ん?」 「好きだよ」 「何だ急に。……俺も結心が好きだよ。」 結心はふんわり微笑むと、今度は触れるだけのキスをして、壮五の腰を優しく撫でる。 結心は舌なめずりをすると、壮五の下履きに手をかけた。

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