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第47話
一方の壮五は何せ結心が心配だった。
仕事中、『もうやだ』や『採用無かったことにしてだって〜』とかの連絡が来たらどうしようとソワソワしていた。
が、そういった連絡は一切なく、仕事を終えて食材を買い家に帰ると、結心が「おかえり〜」と少し疲れた様子で(けれど笑顔で)言ってくれたので、ホッと胸を撫で下ろす。
「ただいま。初出勤どうだった?」
「あー……壮ちゃんにね、相談があるよ。」
深刻そうな表情で結心がそう言うので、壮五は『何かあったんだ!』と思い、オロオロと結心に近づいてはそっと彼の腕をさする。
「相談? やっぱり辞めたい?」
「え、違うよ〜。資料貰ったからさ、あとで一緒に見てくれない?」
「あ……」
何かの手続きで分からないところがあるのだろうか。
一人急いでしまった。壮五は少し恥ずかしかったが、それを隠してふんわり微笑む。
「うん。もちろんいいよ。」
「ありがとぉ。」
チュっと唇同士が重なる。
もう少し結心の体温を分けてほしくて、壮五はそっと彼を抱きしめた。
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