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第52話
結心が仕事を始めてから、当たり前だが結心と壮五が二人で過ごす時間が前より減った。
減ったと言っても一、二時間程度なのだが、壮五はやはり帰宅して一番に「おかえり」が聞こえてこないのを寂しく感じてしまう。
結心の負担になりかねないのでそんなことを本人には言わないが、結心が帰ってくるとホッとするので、できることなら四六時中一緒にいたいと思ってしまっている。
「……俺って重たいよな」
ふと、食事中にそう呟くと、結心は眉間に皺を寄せて「軽いよ」と言った。
「もっと食べた方がいいよ。体重増やしな。余裕で抱っこできちゃう」
「……体重の話じゃないんだわ」
「えー? じゃあ何の話?」
今日は壮五が食べたかったので、珍しくピザをデリバリーした。
「俺の気持ちの話」
「気持ち……? 何か悩んでるの? 話聞かせてよ」
「……いや、なんか、結心といると落ち着けるし、無駄な力入らなくていいから、ずっと一緒にいれたらなって思ったんだけど……重いよなぁって。」
「え、そんな風に思ってくれてるの?」
結心はニパっと笑い、壮五のすぐ隣に寄り壮五を抱きしめようとして、手が油まみれだったことに気付きムッと口をへの字にした。
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