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な? と隣にいる友人に同意を求めていると、「そ、そ」と大きく頷いていた。
友人との"当たり前"に差異が生じる。
"当たり前"って、なんなんだ。
それが知りたかったし、自分のしたいことを見つけるために道に逸れたことをしてみようと思い至ったのだ。
周りの友人の言葉に乗せられて、いとも簡単に父親からすれば反抗的な態度を取って。それは信頼でさえ失ってしまう。
自分の息子が自身の会社を継がないとは思わなかったから、特にだ。
後先考えないで、そんな子どもじみたことをしてしまうような人間に、跡を引き継がせてよいものなのか。
「⋯⋯今の状況と比べたら、可愛げあるってか?」
鼻で嗤った。
前に他の製薬会社がデータ改竄を行なった疑いがあると、謝罪会見を開き、事の経緯と謝罪する場面がニュースで報道されていたことを思い出す。
あの会社も一時はそのような不祥事を起こして、売上が低迷したようだが、何とか持ちこたえ、経営を維持している。
父の話を聞く限り、先程述べたような会社と同じようなことが起こっている。
小さな歪みであれば、まだ修繕する余地がある。
何とかなって欲しいと、願うことしかできない俊我は心の中で祈り、今の自分にしかできない勉学に意識を向けた。
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