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6.
「こないだのニュース、観たわよ。いい宣伝ね」
「⋯⋯そりゃ、どうも」
「いい具合に右肩下がりなようで、おかげさまでうちの病院で扱っているあんたの所の薬、芳しくなくて、置き場所に困っているだなんて耳にしたわね」
「⋯⋯そこまで言うのなら、俺の父親に言ってくれ。すぐさま取引を切ってくれるだろうから」
余裕のない心だからか、余計にその言葉が倍にも腹を立たせる。
その場から一刻も早く立ち去りたかった俊我は、「用はそれだけか」と苛立ちを隠さない態度でその場から去ろうとした時、
「資金援助」
身体がぴくりと反応する。
「私の病院が未だにあんたの所と繋がりがあるのは、どうしてだと思う?」
睨みつけるように雅を見ると、口角を上げた。
真っ赤に塗った唇がやけに目立つ。
「御月堂の会社の面汚しを手伝って欲しいのよねぇ」
「⋯⋯は?」
華園院と御月堂は婚約関係。
先日、縁を一方的に切られてしまったあの家の病院のように、御月堂製薬会社からより良い薬を提供してもらえ、病院の評判が良くなるだろうに。
何故、そのような利益を下げるような行為を。
困惑した表情もしていたからなのか、雅は反対に愉快そうに笑った。
「人の手柄を盗む相手先と、これから仲良く出来るとでも?」
その意味深な言い方にあることを思い出す。
小野河製薬会社を破滅に追い込んだ引き金であるデータ改竄。
それが、内部の人間ではなく、外部の人間だという説が浮上した。
それも、御月堂の会社からだという。
その上、開発中であった新薬の情報を盗まれ、その製薬会社から似たような新薬が開発された。
そう。裏ではそう言われていた。
しかし、調査委員会と共にいくら探しても、"証拠"が一向に見つからず、ようやく見つけたかと思えば、内部の人間がしたと思える"証拠"が出てきてしまったのだ。
そして、会見を開いた時、ただ自社の不手際で改竄してしまったとしか言えなかった。全ては、自分が悪いのだと。
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