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7.
「······何故、それを」
「己の利益のためならば、そういうこともちゃんと分かってないといけないことじゃない。だから、あんたのところは隙だらけで、呆気なくやられるのよね」
そもそも、このような世界では相手との探り合いが常だ。
長年、仕事での関係があるだけで、夫婦になったとしても愛はないようだった。
何も言い返せなかった。自嘲した。
雅からそう言われても仕方ない。なにせ、製薬メーカーでは最上位に当たる企業に手柄を横取りされたのだから。
小野河製薬会社は上位とはいえども、御月堂とは足元も及ばない企業で、そのような企業に、業界では競争している物の一つである抑制剤の新薬開発をされ、それが自社よりも優れた効果が現れたら、追い越されると思ったのだろう。
だから、外部の人間が内部から混乱を招き入れた。
だが、そのようなことをするのは大きな罪だ。その罪が暴かれれば、御月堂の会社はたちまち業績悪化の一途を辿るだろう。
そうなってしまえばいい、と俊我は憎悪を滾らせた。
小野河製薬会社をここまで追い込んだのだから、同じように苦しめばいいと。
「今もあんたの所と繋がりがあって光栄だわ」
満足げに笑っていた。
「で、あいつをどん底に堕とすために何をするつもりなんだ」
「そうねぇ、既成事実を作るために子どもが必要ね」
「······本気で言っているのか?」
たしか雅もアルファだと噂に聞いた。男女とは言えども、ベータとは違い、アルファ同士は子どもが出来にくいという話だ。
御月堂を陥れるためとはいえ、そこまでのことは出来ない。
「あんた、何か勘違いしているようだけど、いくら既成事実を作るためとはいえ、一時でもあんたとそういう関係になるのは死んでも嫌なんだけど」
「は? 俺もそれは願い下げなんだが?」
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