14 / 177

14.

雅は医学部、俊我は薬学部というのもあり、直接会うことはなかった。 何かのために連絡先は交換したが、するほどでもない、それよりも、極力相手にしたくないと思い、対象と会ったことは言っていなかった。 「一応、見つかったが······」 「なに? なんか不満そうね。あんたの好みのオメガなんて用意してあげないわよ」 「いや、そういうことを言いたいんじゃないんだが」 「だったら何よ」 強い口調で言い返してくる。 やはり相手にしたくないと、心の中でため息を吐いた。 どうしてこうもそのような言い方しか出来ないのかと思いつつ、一人でも助言が欲しいと一応先ほど悩んでいたことを口にした。 すると、退屈そうな顔をした。 「そんなの金をあげておけばいいのよ」 「お前、考える気あるのか?」 「そんなところで働いているオメガなんて、金銭的な理由でしょ。あとは愛でも囁いておけば、すぐにあんたに夢中になるんじゃない?」 聞いて損をしたと言わんばかりに肘をついた。 やはり、こいつに聞くのが馬鹿だったと自分に対しても苛立った。 しかし、こういうことも我慢すれば、いつか望んでいた幸運が訪れることを信じて。 「雅ちゃん、お待たせ」 今はとりあえず、極力話さないようにしようと雅から手元の携帯端末に目を向け、見ていると、控えめな声が聞こえた。 一体誰なんだと、顔を上げた。 垂れ目気味の肩まで伸ばした女子が、雅のそばに立っていた。 「全然。俊我のつまらない話に付き合わされたけど」 「えっと······この人は?」 「いいの。花梨は関わっても意味がないから。人生の無駄にもなるわ。それよりも、講義の時間なんでしょ? いこ」 「う、うん」

ともだちにシェアしよう!