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「この首輪を付けられているからです。部屋を出ようとドアノブに手をかけた瞬間、気絶しそうなぐらいの電気が流れて⋯⋯。だから、ぼくからは出られないんだと思います」 出られない原因を指先で触れた。 雰囲気作りなのか、四方にライトが照らされ、その影響で共に座っているベッド付近は目を凝らさないと見えにくい程度の暗さだった。 だから、娼年の首輪もはっきりとは分からないが、細い首には不釣合いなごつごつとした飾り気のない代物だった。 それは"あいが"と全く同じ物。 おかしい、と俊我は思った。 この娼年が出られないというのなら、同じ条件であるはずの"あいが"も出られないはずだ。 だが、初めて会った時は外で客引きをしていた。 これはどういうことなのか。この娼年と"あいが"には何が違いが。 「あいがは部屋から出ていた⋯⋯」 「あいが⋯⋯?」 「いや⋯⋯。⋯⋯お前と同じように働いている奴だ。知らないか?」 「いえ、お店に連れて行かれてここに直接入れられたので、ぼく以外に人がいることも知りませんでした」 「そうか⋯⋯そうだったな⋯⋯」 この娼年は今日初めて働く。"あいが"は、この娼年よりかは経歴は長いと思われる。 俊我が出会ってから短期間で値段が上がる実績を持つ人間だ。きっとそうなのだろう。 そう考えると、"あいが"はこの店では稼ぎ頭で、ある程度の仕様は分かっているはずで、部屋から出てもいいぐらい信頼されている。 いや、のかもしれない。 "あいが"もこの娼年と同じような境遇で、もしここから出て行っても、他に行く宛てがない。 そして、先程娼年が言っていたように、何かの拍子で気絶しそうなぐらいの電気が流れる首輪に恐れながら生かされる。 だから、仕方なしにここにいるしかない。

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