30 / 177

30.

「⋯⋯なんか⋯まだ、入っているような感じがしますし、身体が勝手に動いているような⋯⋯ぼく、おかしくなったの⋯⋯っ」 本人が気づかないうちに、しかも、今まで達したことがない言い方に目をみはった。 そのような性も未発達な娼年に、俊我も知らない異物を無理やり押し込めるとは。 持ったままでいた異物に怒りを込めた。 「⋯⋯お前は、精通してなかったのか」 「せい、つう⋯⋯? 初めて、気持ち⋯よく⋯⋯感じる⋯⋯あれのことですか?」 「そうだ。お前は今、コレを抜かれたことで大人になったことだ」 「⋯⋯え?」 疑いの目を向ける娼年に、真実を指差した。 それを辿っていった時、瞳が揺れ、そして、赤く染まった。 「え、な、なんで⋯⋯どうして⋯⋯っ」 涙を零し、膝を抱えた娼年は信じられないものを見たことで錯乱気味となった。 無理もない。このような形で大人にさせられたのだから。 ああ、ダメだ。 部屋に充満する人工的な匂いに加え、目の前のオメガから放つ、濃くも甘ったるい匂いに冷静だったはずの頭がそれに満たされてしまう。 我慢ならない。 「しゅ⋯⋯っが、さん⋯⋯!」 気づけば、折りたためられた足を無理やり割り開いた。 そんな俊我に恐れをなす娼年の悲鳴のような声がつんざく。 しかし、それもそそられる要因となってしまっていた。 「⋯⋯いい機会だ。ここで生きるための術を俺が教えてやる」 熱を吐いた俊我は、怯えを見せる娼年を一瞥した後、身を屈めた。

ともだちにシェアしよう!