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41.
あれから、数年の時が過ぎていた。
既成事実を作るためだけの相手だったはずなのに、手離すのが惜しい存在となっていき、数ヶ月の間で行動を移そうとしていたものが、年単位となってしまった。
在籍を示す写真に映る相手を見つめる。
この数年の間でも、料金が上がっていき、今ではどの娼年よりも飛び抜けて値の張る、人気の娼年へと変わっていた。
そういった影響もあって、近頃は来ても待たされることが当たり前となっていた。
このままでは、そのうち誰かにお持ち帰りされるのは時間の問題だろう。
だから、今日は。
決意をあらわにした俊我は、受付にと足を運んだ。
「来たぞ」
「俊我さん!」
入ってくるなり、"あいが"が嬉しそうに飛びついてきた。
初めて会った頃は、ベッド縁に座り、控えめに笑って迎えていたというのに、最近ではこうやって迎えてくれる。
まるで、主人の帰りを待つ犬のようだと、ふっくらと肉づいてきた"あいが"の背中に手を回した。
「そんなにも会いたかったのか?」
「はい! 俊我さんに会えるのをとても楽しみにしていたんです!」
「そうか。そう言われると俺も来た甲斐があった」
無邪気に笑う"あいが"を見て、本当に俊我が来たことに嬉しそうで、それには思わず、小さく笑っていた。
その瞬間、"あいが"は目を奪われたかのように、人の顔をじっと見ていた。かと思えば、顔を綻ばせた。
そのような反応を見た時、変な声が出そうになった。
無防備にその顔を見せつけられると、耐えきれなくなる。
「人の顔を見て、何をニヤニヤしているんだ?」
「ふふっ、なんでもありません」
そう言って、楽しそうに笑った。
これが本来の性格なのだろう、と自然とそのような表情を見せてくる"あいが"を眺めながら思った。
雅から秘密裏に送られたデータによると、中学卒業ぐらいの時にここに強制労働をさせられていたようであったから、今の年齢でも庇護される立場で、甘えたい年頃のはずだ。
それなのに、オメガというだけで冷遇され、安易に甘えることもままならない。
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