43 / 177

43.

手を引いて、ベッドに導こうとしていた。 鼓動が脈打つのを感じる。 言わなくては。 「話がある」 「え?」 こちらに振り返り、目を丸くする"あいが"。 一呼吸を置いた俊我は、真剣な顔をした。 「お前は俺と一緒にいる気はないか?」 「えっ、え⋯⋯?」 言っている意味が分からないといった顔を見せる。 無理もない。俊我自身も気持ちが早まりすぎていて、先走った言い方をしてしまったのだから。 「あまりにも急な言い方だった」と言葉を改めた。 「店先で客寄せしているお前を見かけた時、一目惚れをしたんだ。どうにか好きになってもらいたくて、話したり、好きな物が分からないから金しかあげられなかったが、それでもお前は困り笑いで受け取ってくれて。その表情でも、嬉しくてたまらなくて」 この口から発せられる言葉は全て嘘だ。 そう、嘘だ。嘘の塊だ。 そうやって自分に言い聞かせて言葉にしないと、違う言葉が漏れ出てしまう。 嘘だと、自分にも騙さないと俺は。 「⋯⋯さっきも俺の姿を見た時、飛びついたのが⋯⋯って、何笑ってるんだ」 「だって⋯⋯だって、こんなにも僕のことを好きだと思わなくて。嬉しくて⋯⋯」 胸いっぱいだと言わんばかりに、鈴を転がすように笑った。 あまりにも澄んだ心を持っている。 俊我以外にも愛の告白でもした輩がいただろうに、それでもこんなにも初めてもらったとばかりに、嬉しくてたまらないと笑うのだ。 勘違いしてしまいそうだ。 ひとしきり笑った"あいが"は頬を緩めたまま、こう言った。 「僕も俊我さんの笑った顔が好きです。俊我さんと一緒にいたいです」

ともだちにシェアしよう!