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"あいが"と子どもを作ることしか自分には選択肢がない。 "あいが"と共に忌々しい店から出てもなお、雅に言われた言葉が頭の中で反芻していた。 たしかに、元々跡を継ぐことしか選択肢がなかった自分が、今はその選択肢すらなくなっていき、既成事実を作ることしかないのかもしれない。 高校の頃、友人達のように自らしたいことを見つけて、それを将来に繋げたいとしたいことを探そうとしていた。 けれども、何も見つからなかった。 そんな自分は、誰かに言われたことしか出来ない人間だというのか。 隣の辺りをゆっくりと見回すオメガを見やる。 「俊我さんと初めて会った時以来の外です。あの時と同じく暗い⋯⋯ですね⋯⋯夜?」 「違う。ここが単に暗いだけだ。今は昼間だ」 俊我が近道として来ていた風俗街とは真逆の方を指差す。 すると、"あいが"は「本当だ⋯⋯」と呟いた。 「今までピンクで、ですが、薄暗い所にいましたから、ここからでもまぶしく感じますね」 それを体現するように目を細めていた。 だが、胸に手を添え、どこか不安げにも見えた。 「怖いのか?」 「怖い⋯⋯そう、かもしれません。店に来る前までは当たり前にいた場所だったのに⋯⋯」 今度は悲しげに目を伏せた。 あの部屋から出ることすら自由ではなかった娼年はいつしか、それが当たり前だと身体に刷り込まれ、そうして何年も過ごしてきた。 太陽の下で平然と歩く人達のように、あちら側の俊我には想像できない当たり前だった。 その"あいが"にとっては当たり前だと思っていた暮らしから自由になったというのに、出てきて早々そのような顔をさせてしまうだなんて。 一時の関係でも、屈託ない笑顔を少しでも多く見せて欲しい。

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