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47.
「ごめんなさい。面白くないことを──」
「大丈夫だ。俺がいる」
「俊我さん」
自分よりも小さい手を握った。
ひんやりと冷たく感じたその手が、俊我の温もりによってじんわりと温かくなるのを感じた。
「怖がらなくてもいい。だが、無理はするな」
「はい」
「行くぞ」
その言葉で勇気づけられたと思った"あいが"が握り返してくれた。
それが嬉しく思い、小さく笑みを見せた後、恐る恐るといった足取りの彼に合わせて、歩調を揃えた。
途中、前に進むのを躊躇して立ち止まってしまった時があった。
小刻みに身体を震わせているのが、繋いだ手に伝わってくる。
「大丈夫だ、ゆっくりと行けばいい」
「はい······」
小さく息を吐いた"あいが"は、思うように動かない足を暗闇の中、一歩先が崖なのかを確認するかのように地面を踏みしめた。
「焦らなくていい。ゆっくりとだ」
俊我なりに励ましながら、"あいが"のことを見守っていた。
「まぶし······」
かなりの時間をかけて裏路地に出た瞬間、そんな呟きをして"あいが"は目を細めた。
「大丈夫か」
「はい······」
頑張ったな、と言うよりもその言葉が先に出てしまうほどに心配になった。
その返しも心許なくて、そこのところの配慮が足らなかったと自身に苛立った。
ただ、昼間ならば連れて行ってやれる所が多いから、久しぶりの外を楽しませてやろうと思ったのだ。
その考えが"あいが"を苦しめることになってしまった。
「この中を通って、タクシーに乗る。"あいが"にとっては辛いかもしれないが、あともう少しの辛抱だ。悪いが、少し頑張ってくれないか」
眉を下げた"あいが"がチラリと俊我のことを見てくる。
そして、視線を外し、行き交う人らのことをそっと見るように視線を向けた後、こう言った。
「少し······頑張ってみます」
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