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好きだ。好きで仕方がない。 あまりにも健気で、素直で、蕾から開花し、そして萎れていくように、表情がコロコロと変わり、その度に胸をざわつかせた。 特にはにかむように笑うその顔がたまらなく愛おしい。 自分よりも華奢で、けれども思わず抱きしめたくなるほど可愛くて、その温もりを、鼓動を感じていたくて、この腕の中にずっと閉じ込めていたいぐらい愛らしい存在。 好き。 だが、そのたった二文字を言葉にすることすら叶わない。 この関係が嘘で、一時であっても、本当の気持ちであるこの言葉を口にはしたくなかった。 「そうか」 振り絞るように出た代わりの言葉。 そして、言葉代わりに抱きしめた。 「俊我さん?」 戸惑う声がすぐそばで聞こえる。 そんな声さえ愛おしい。 抑えきれないこの気持ちを、背中を優しく叩いてやることでどうにか抑え込んだ。 それが、慰められていると思った"あいが"は堰を切ったように泣き出した。 まるで小さな子どものように声を上げて。 あの店にいた頃は、涙を溢れさせていたがそれまでで、今のように泣きじゃくることはなかった。 今までその苦しみさえも容易に言えなかったのだから、当たり前だ。その当たり前じゃなくなった今、信用している俊我に初めて口にした。 そうだ、自分に初めて胸の内を明かしたのだ。 嬉しいことのはずなのに、胸が苦しい。 俺はこのオメガを幸せにすることもできない。 張り裂けそうなほどの苦しみを抱えながらも、今は"あいが"が泣き止むまで優しく叩き続けるのであった。

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