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「美味しいです! こんなにも人間らしいものを食べられる日がくるなんて······! 温かくてホッとします」 「人間らしい······?」 今、聞き捨てならないことを言った。 聞き返したことにより、とろけそうになっていた顔から一変、我に返った"あいが"は「······なんでもありません」と言って、黙々と食事を続けた。 初めて会った時、送られたデータに載っていた写真よりも痩せている印象があった。 自由に外に出させてもらえてなかった上に、まともな食事もさせてもらえなかったということか。 ──あんな所で働くことしか出来ない低俗な性なのよ。同じ人間だと思いたくないわ。 いつぞやか、雅が放った言葉が過ぎった。 あの憎たらしい店を経営している輩もきっと同じ思考だということだろう。 だが、低俗な性だと罵りながらもその性を利用して、自分が楽して利益を得ている。 スプーンを持つ手が震えるほど強く握りしめる。 憎い。憎すぎる。 自分の立場を利用して、あのオメガ達を自由にしてやりたい、と一瞬思ったが、皮肉なことに経営がままならなくなったから、あのような所に赴くきっかけとなったことを思い出し、自嘲した。 「"あいが"、美味いか?」 「えぇ、はい。じゃがいも······が、ホクホクしていて、あっ、あと、このソーセージも食感も良くて、スープもいいですし、どれもこれも美味しいです」 「······そうか。作った甲斐があった」 顔を綻ばせる"あいが"につられて、俊我も微笑み返した。 今は、手伝ってきた料理の成果が出て良かったと思うようにしよう。 美味しそうに食べる"あいが"を一瞥しながら、俊我も食事をし続けた。

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