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61.
"あいが"が上がってきて、その次に入った俊我も上がり、落ち着いてきた頃。
二人でも余裕で寝転がれるベッドで、背中合わせになっていた。
ベッドも雅が用意した物だが、"あいが"からすれば、俊我が用意した物だと思っているため、キングサイズのベッドはあからさまだと思われているかもしれない。
「そろそろ寝るか」と寝室を開けた際、呆然と見つめていたからだ。
「悪い。別のベッドを用意しておけば良かったな」
「いえ、一つのベッドに寝るなんて慣れてますし、それに······俊我さんと······その······こ、恋人になったのですから、こういうことは当たり前かと思いますし」
すぐそばで恥ずかしげに言うのが聞こえた。
たしかに、今の関係は恋人だ。誰がどう見てもそのような関係だと思わせる。互いの気持ちを確かめ合った後、こうして同棲とも呼べることをしているのだから。
しかし、"あいが"がそう言った瞬間、初めて知ったかのように思え、恋人だと今さらながらに自覚した。
やましい気持ちがあるから、はっきりとそう思わなかったのが一番の原因だが、"あいが"が慣れてなさそうに言うものだから、こちらまでもその羞恥が伝染してしまう。
何故、そんなにも初々しい反応をしてくるのか。
「俺は"あいが"が初めての恋人で、こういう形が当たり前だとはっきりと言えないが、"あいが"が嫌であれば、俺はソファで寝る」
「待って」
背を向けたまま起き上がろうとした時、服を掴まれた。
そうされるとは思わなく、思わず振り向くと、"あいが"と目が合った。
途端、彼は「ご、ごめんなさい! 急に掴んで」と慌てて離した。
と、咄嗟にその手を掴んだ。
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