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今度こそ素直に聞いてくれるかと思いきや、眉根を寄せ、嫌そうな顔をしていた。 ある意味、素直な反応を見せてはくれるが、この調子だと今回も無理そうだ。 わざとらしくため息を吐いてみせると、「せめて、洗濯物を取り込む時だけは着ておけよ」と念押しをし、玄関のドアノブに手をかけた。 「あっ、俊我さん」 「どうした──っ」 振り向いた時、頬に柔らかいものが触れた。 それは愛賀の唇だと気づいたのと、頬を緩める愛賀の姿があった。 「ねぇ、俊我さんもここにして欲しいです」 強調するように自身の頬を差した。 仕事と称して出かける時、何の前触れもなくし始めたことだった。 これに関しては恥ずかしがることもなく、ごく自然としてくるものだから驚いたし、俊我の方こそ未だに慣れない。 本当はその頬に触れたい。触れたいが、軽くでは済まされないし、頬以外にも深く愛を付けることをしてしまいそうだった。 それに、ここ最近愛賀のフェロモンが強くなってきている。 だから、するとしたら今ではない。 「⋯⋯愛賀、お前匂いが濃くなってきている」 「えっ、あ、そういえば、少し頭がぼーっとするような⋯⋯」 「それは特に気をつけろよ。⋯⋯じゃあ、行ってくる」 「あ⋯⋯っ」 引き止めようとする愛賀のことを振り向きもせず、出て行った。

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