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待ち合わせ場所である、カフェチェーン店に入った。 店内をぐるりと見回してみると、見知った人物が「ここ!」と大きく手を振っていた。 その人物がいる角の席へ足早と行った。 「俊我! 久しぶりだな!」 「お前は相変わらず騒がしいやつだな」 「そりゃあどうも〜」 「褒めてない」 刺々しい突っ込みにも歯を見せて笑っていた。 昔から本当に何かとよく笑うやつだ。 されどもその顔が眩しく、目を細めた。 通りかかった店員にそれぞれ注文を済ませた後、俊我から話を切り出した。 「で、俺に何か用なのか?」 「まぁ、大した用ではないんだけどな。これから会社面接しに行くんだけどさ、今すげぇ緊張していて解す方法がなんかないかな〜と思っていたら、俊我のことが思い浮かんでさ、それで呼んだわけ!」 「なるほど」 彼がびっしりとスーツを着ているのはそういうことなのか。 大学三年であれば、就職活動で勤しむ時期だ。 「どこの会社に行くつもりなんだ?」 「製薬会社の営業!」 ぴくり、と瞼が動いた。 「⋯⋯何故」 つい出た疑問に、彼は照れくさそうに頬をかいてこう言った。 「高校の時に、やりたいことがないし、かと言って仕事がしたくないから何となく大学に行こうかな〜って言ったじゃん? 本当はずっとやってみようと思っていたことがあったんだけどさ、なんか恥ずかしくてちゃんと言えなかったんだよね」 「そんな恥ずかしがるようなことじゃないだろう」 「いやぁ、家が製薬会社の御曹司の前で言うのはさ⋯⋯ねぇ?」 忙しそうに目をキョロキョロする彼に対し、怪訝な顔をした。 「⋯⋯やましいことでもあるのか?」 「いやいやいやっ! 逆! むしろ憧れ! 尊敬! そんな顔で見ないでくれよ!」 俊我の顔を見ないようにと、自身の顔を大げさに腕で隠していた。 こいつの大げさな反応は昔からだ。特にそのことに関してとやかく言うほど興味はない。 それよりも、その口から言われたことだ。 どういうことなのか。

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