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その疑問を口にすると、そわそわとした面持ちで話し出した。
「自然な流れで友達になった相手が製薬会社の御曹司だって後から知って、そんなすげー会社なのかとちょっとした好奇心で調べてみたんだよ。そこからそういう会社に興味が湧いてさ」
その当時の流行病の特効薬を開発したことから始まり、そこから企業を立ち上げ、数多の薬を開発してきたこと、その小野河の会社で開発した薬の中に自身が服用したことがあるものがあり、それで薬学部のある大学に入ったのだという。
「それでゆくゆくは俊我の会社に入って、この会社の薬すごいんッスよって、そんでもって、俺は俊我の友達ってアピールしたかったんだけどな⋯⋯」
語尾が小さくなっていく彼のその続きは、言わなくても言いたいことが分かってしまった。
「⋯⋯今となっては、お前らが言う御曹司でもなんでもない。落ちぶれたアルファだ」
「あー⋯⋯あの件で結構大変だった、みたいだな⋯⋯俺が想像する以上のものかと思うが」
先ほどの弾ませた声はなく、歯切れ悪そうにしていた。
そんな二人の元に注文した飲み物がそれぞれの前に置かれた。
熱さを体現するように立ち上る湯気を見つめていると、「けど、」と続けた。
「それでも俺はお前の元で働きたかったんだよ。お前の所、募集してなかったから、仕方なく違う所に面接しに行くんだけどさ。てかよ、言ってしまえば、データ改竄なんてどこの会社でも当たり前に行われているし、だけど、その後何もなかったように経営してんじゃん。なんでお前の所はそんなことになってんだ?」
その問いは俊我も一番気になっていたことだ。
仮にも小野河の会社がデータ改竄をした事実扱いされたとしても、あんな短期間で業績悪化してしまうものなのか。
あの女が言う「あんたのところは隙だらけで、呆気なくやられる」ということか。
それにしても、おかしい。
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