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「⋯⋯あいが⋯⋯この手を、離してくれないか⋯⋯っ」 「しゅんが、さんなら⋯⋯細くて、弱いぼくの手なんて、すぐに離せるでしょ⋯⋯?」 「そう、だが⋯⋯」 「ふふ⋯⋯口ではそう言っても、本当は離したくないんでしょう? ⋯⋯けど、ぼくもそう。ディープキスすることに抵抗していた人が、こんなにも⋯⋯ぼくの舌を噛むまで欲しがってくれて、嬉しい⋯⋯」 目を細め、頬を赤らめる愛賀の言葉に自身のしたことが充分に伝わってしまったことに羞恥を覚えた。 その熱く感じる頬に、ひんやりとした手が触れた。 「ねぇ⋯⋯もっとぼくを欲しがって。俊我さんのココでその欲をぶつけて⋯⋯?」 「⋯⋯っ、⋯⋯ふ⋯⋯」 愛賀の膝がきついぐらいに膨らんだ己の欲を無邪気に弄ばれ、情けない声が漏れそうになった。 「や、やめ⋯⋯っ」 「俊我さんが挿れてくれるまでやめない」 「お前⋯⋯っ!」 口角を上げ、愉しそうにする愛賀に苛立ちで睨みつける。 それでも青年は頬を緩めて悦び、唇を再び重ねてくる。 下の容赦ない責めに反して、触れる柔らかい唇はさっきとは違い、軽いものだった。 そのあまりもの差に、馬鹿馬鹿しく押さえつけていた理性をかなぐり捨てた。 不意に入れようとする愛賀の舌先をやや強めに噛んだ。 一瞬ひるんだ青年の手を床に縫いつけて、抑えきれない本能を見せつけた。 「⋯⋯やってやる。お前がそう言うなら、挿れてやるよ」

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