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覚めてきた目で、今は何時なのかと携帯端末を探そうとした時、目の前に膨らんだ布団があった。 こちらに背を向けて、膝を抱えているような形のようだ。 頭まで被った布団の主に声を掛ける。 「⋯⋯愛賀。起きていたのか」 なんてことないことを言っただけだった。それなのに大げさに跳ねた。 「あ⋯⋯っ、お、おはようございます⋯⋯先に起きてしまいました⋯⋯すみません⋯⋯」 「いや、起きるのは勝手だが⋯⋯」 声だけでも苦笑いしている雰囲気が感じ取れた。 それよりも、普段聞いていた敬語になっているということは。 「発情期(ヒート)治まったんだな」 「はい⋯⋯そう、みたいですね⋯⋯」 えへへ⋯⋯愛想笑いをしつつも、どこか申し訳なさそうにしている印象を受けた。 あの時のこと、憶えているのか。 「あの⋯⋯その⋯⋯僕が何かと余計なことを口走ったかと思います。それで、俊我さんの多大なるご迷惑をおかけしてしまって⋯⋯」 「それは仕方ない。何せ耐え難い衝動だ。全く迷惑だと思ってない」 「ですが⋯⋯僕が⋯⋯僕、が⋯⋯」 布団が小刻みに震えていた。 また泣かせてしまっただろうか。 今度こそ慰めてやりたいと、思うように動かない手をどうにか上げようとした時、震える声で言ってきた。 「⋯⋯申し訳ありませんが、今は一人にさせてください」

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