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89.
俊我の腕の中でひとしきり笑っていた愛賀が急に我に返ったかと思ったら、「汚れていたのに抱きついてしまいました」と離れようとするのを抱き上げた。
「わっ、俊我さん! 僕は大丈夫ですので、下ろしてください!」
「大丈夫なわけがない。それに俺がしたいことだ。大人しくしてろ」
「あ、はい⋯⋯」
素直に俊我に身を預けた愛賀を一瞥した後、洗面所に連れて行き、下ろした。
何気なく支えつつも脱がそうとした時、「それは自分でできますから」と慌てて俊我の手を掴んだ。
「大丈夫ですので、行ってもらってもいいですよ」
「何かあったらすぐに呼べよ」
「はい。お気遣いありがとうございます」
やや俯きがちの愛賀を見つつも洗面所を後にした。
気が抜けたのか、不安定な足取りでリビングへと行き、ソファに身を投げ出した。
行為中も愛賀はあの姿のままでいた。だから、愛賀の精液がこびりついていた。
散々射精 した証拠を目の前に突きつけられて、正気を失いそうになったし、それに。
「散々愛賀に射精 したくせに、まだ落ち着かないっていうのか」
疼く下腹部に悪態を吐いて、天を仰いでいた。
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