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腕に確かな重みを感じ、薄らと目を開ける。 腕の中にすっぽりと入っている愛らしい存在は、穏やかな寝息を立てていた。 嬉しそうに頬を緩めているのが可愛らしく、そっと抱きしめた。 「⋯⋯愛賀、愛してる」 「それは嬉しいです」 寝ているのなら許されるだろう、その言葉を口にすると返事が聞こえ、硬直した。 「⋯⋯起きていたのか」 最近、同じことを訊いたなと思っていると、「ふふ、起きてました」と笑みを零した。 愛賀も同じことを思っている様子に、嬉しく⋯⋯いや、聞かれてはならないことを聞かれてしまったと後悔していた。 「起きていたなら起きていたと分かりやすくいてくれ」 「それは照れ隠しですか? ふふ、あれほど言ってくださっていたのに、俊我さんも可愛らしいところがありますね」 頬をつんっと指先で突っつく愛賀の手を押しのける前に、彼の言った言葉が引っかかった。 愛している、なんてそんなにも言ったか? そんな本当の恋人が言うような言葉、いつ口走ったというのか。 と、変な顔をしていたとでもいうのか、愛賀は抑えきれないといったようにくすくすと笑っていた。 「憶えていないのですね。僕が子どもが欲しいと思ってますか? と訊いた時にそう言ってましたよ。⋯⋯それと、えっちの時も⋯⋯。僕が不安だと言ったから、気を遣わせてしまったのかと思ってましたが、無意識に言ってしまうぐらいそう思ってくれているのですね。⋯⋯とても嬉しい⋯⋯」 その言葉通りに、嬉しそうに頬を染めていた。 愛賀が嬉しそうにしているのなら、それでいい。結果的にその顔が見られるのなら。⋯⋯いや、良くないだろう。 そんな無意識でも言ってしまうぐらいに離れがたくなってしまっているだなんて、良くない。とても、良くない。 後々、辛い思いをするのは結局自分なのに。 「俊我さんが嫌でなければよく言って欲しいです。あ、よく言ってしまうのは、特別感がなくなってしまいますね。えーっと、忘れた頃に言って欲しいです! ドキドキってしたいです」 そんな無邪気に言われてしまったら、たまにでも言ってしまいたくなる。 どうしたらいいんだ。 返事代わりにぎゅうっと抱きしめてくる俊我に、不思議そうな顔をする愛賀であったが、嬉しそうにしていた。 あぁ、どうしたらいいんだ。

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