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気持ちが吹っ切れたというべきか、今まで以上に仕事に精を出していた。 今の自分にはそれしかできないと思って、忙しくとも勤しんでいた。 それと同時に大河の通帳を作り、それに貯めることを始めた。 もしこの先、目的が果たされ、俊我といられなくなり、かといって、あの母親の元に行ける保証はなく、そうなった場合の保険として持たせようと思ったのだ。 やはりそれも大河に対する償いとしての意味合いもある。 身勝手な目的のために諸共利用され、とはいえども、俊我は共犯でもあるが、その罪が暴かれた時、その時も何の罪もない大河が巻き込まれては後味が悪いと思ったからだ。 あの母親が大河のことを忘れてしまい、他の誰かと愛し合い、その間にできた子どもが仮にいたとした時、犯罪者となった俊我と一緒にいられなくなった時と、どちらとも一緒にいられない場合を考えた時、どちらにせよ、身勝手なことをしてしまっているとも考えてしまう。 けれども、今の状況ではこれが最善策だと思うしかなかったのだ。 いいペースで大河のための貯金が貯まってきたある日のこと。 朝食を済ませた後、ソファに座り、携帯端末を調べていた時、急に足元をバシバシ叩かれ、何事だと足元に目線を向けた。 リビングに遊ばせていた大河がいつの間にかこちらに来ては、俊我の足を無遠慮に叩いていたようだ。 横に携帯端末を置き、ずっと叩いている大河のことを抱き上げた。 「大河。人の足を叩いて何が楽しいんだ」 「うっ、うー、ん、あー」 大河にとっての言語で俊我の言葉に返事をしているようで、そして、俊我と話せたことが嬉しいと思っているのか、きゃっきゃと笑っていた。 よく見ていた笑顔ととても似ている。

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