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135.
ふっと小さく笑い、そのまま高い高いをしてあげると、むちむちの両手足をばたつかせて、興奮気味に嬉しがった。
危ないとも思ったが、大河が嬉しく思うのならと落とさないように細心の注意を払いながらしばらくしてあげた。
「小野河様、そろそろ代わりましょうか」
「う"ー!」
そばにいた上山がただ声を掛けただけなのに、俊我が返事する前に大河が嫌そうな声を上げた。
「⋯⋯大河が嫌みたいだ」
「それは仕方ありませんね」
上山が大人しく引き下がった。
俊我に抱っこされたままでいるのはあの時ぐらいかと思っていたが、それ以降もこうして俊我でないと機嫌を損ねてしまうため、必然的に俊我が世話をするのが当たり前になった。
食事ぐらいならば大丈夫かと思っていたが、それも例に漏れず、上山が与えた食事を口に入れたかと思えば、ぺっと吐き出してはベビー用のテーブルを叩いて、不機嫌さを表していた。
「お前、本当何で俺に世話されたいと思っているんだ」
「あぅ、あ、あぅ、う」
両脇を抱えたまま、足の上に歩かせるようなことをさせている大河に問うように言った。
それに対して何らかの返事しているように聞こえる大河が、それよりも遊んでもらって嬉しいと思っているようで、小さな足を全力で走っているような激しい動きをした。
それが蹴る形となって、俊我の太もも辺りを直撃していた。
「いたっ、いた。⋯⋯大河、お前最近、蹴りが強くなったな」
「うっ、うー!」
「⋯⋯そうか」
はっきりと言っていることは分からない。だが、楽しんでいる大河を見ていると、返事をしたくなる。
パシャ。
好きなように遊ばせていると、短いシャッター音が聞こえた。
その音の方を向くと、こちらに携帯端末を向ける上山の姿があった。
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