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「上山、今撮ったか?」 「はい、撮りました。微笑ましい光景だと思いまして」 そう言っているうちに口元を抑えて、顔を背けていた。 急になんだと思ったが、小刻みに震わせていたことから笑っているようで、けれども、堪えきれないといったところか。 料理を作っている間に眠ってしまった愛賀に声をかけた時、飛び起き、その姿が可愛いと、しかし、笑っているのを誤魔化そうとしたことを思い出した。 俊我が教えた料理を作って、食べているだろうか。そんな気力もないか。 そういえば、欲しがっていた下着を買う話になった際に、愛賀はお金がないと言っていた。 あの店にいた時、余分にあげていた金はどうしたのだろうか。あの店の人間に何らかの形で取られてしまったのだろうか。 こうなることが分かっていたのだから、また渡してやれば良かった。 「小野河様?」 「う?」 上山と大河が呼びかけてきたことで、深い思考から引き戻された。 「不愉快に思われたのでしたら、今後やらないようにします」 「いや、そのことでは⋯⋯。⋯⋯大河のことを撮ってもいいのか」 「そのぐらいことはしても良いのではないでしょうか。写真を撮ることで、大河が成長していると実感されると思いますので」 「そうか。そうだな」 別にその程度のことをしても、もし仮にあのアルファが言いがかりでも嫌味を言ってきても、とやかく言われる筋合いはないだろう。そもそも自分の子だ。写真という記憶を残しておいてもいいだろう。 自分の手から離れても、大河のことは愛していたと伝われば、それで。

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