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156.
あのような元凶から離れれば、そのうち大河は良くなるだろうと神頼みに近い望みをかけつつ、今は一時しのぎの住まいを探さなければならない。
「大河、腹が減ってくるだろう。何か買ってから公園で一緒に食べるか」
そう声を掛けると、繋いだ手をぎゅっと握りしめてきた。
え、と思わず声を出しそうになったが、こないだ公園に遊びに行った時、「ぼく、もうこうえんにいかないから、いいこにするから、いえにいて」と言ってきたのを思い出した。
その時も、俊我が何を言っても「いいこにするから」と言って、ぐずり始めてしまったものだから、宥めるのに大変だった。
今回も、公園に行ってしまったら、「いいこ」ではなくなると思っているのか、それとも公園で遊んだら、あの家に帰らされると思っているかもしれない。
しゃがんで、大河と目線を合わせた。
「大河。俺が家にいて欲しいから、公園に行きたくないと思っているのだろう。俺はこれからは大河と一緒にいるし、あの家には帰らない。それに大河は産まれてからずっといい子だ。ちゃんと寝てくれたし、愛想良く笑ってくれている。だからな、ずっといい子の大河は公園で遊んでいいんだ」
「ちゃんとご飯を食べてからな」と付け加えて、その時も俊我のことを見ようとしない大河の頭を撫でた。
「⋯⋯」
その時、小さな口が開き、何か言っているかのように動かしていたようだが、空気の漏れる音がするだけで言葉を発することはなかった。
それでも言いたいことが分かったような気がして、落ち込んでいる様子の大河に「大河、好きなものを買っていいからな」と立ち上がりざま撫で、その足でコンビニへと赴いた。
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