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鬱々とした気持ちを抱えている俊我を切り離すかのように、上着のポケットに入れていた携帯端末が震える。 ごく自然とそれを手に取り、画面を見てみると隣にいる雅からのメッセージからだ。 『写真が送られました』 そんなメッセージに眉間に皺を寄せる。 「⋯⋯何なんだ」 「つべこべ言わずに見てみなさいよ」 雅に言われるのはかなり癪ではあるが、促される形でアプリを開いた。 送られた写真は先ほど雅が撮っていたものだった。 「わざわざ送ってきて何のつもりだ」 「そう思うのならそのままでいいわ。ただ、あんたもそんな顔をすると思っただけ」 そう言われて、大河を抱きかかえている自身の方を見た時、息を呑んだ。 目を細め、見守るような表情。 上山に遊んでいるところを撮ってくれと言った時、不意に撮られた写真も同じような表情をしていた。 「⋯⋯お前も、やはり嫌がらせで見せてくるよな」 「そうね。人の嫌な顔を見るのが楽しくて仕方ないわ」 「悪趣味だな」 「褒め言葉をどうも」 鋭い目つきで睨んでいたが、それこそ雅の思う壷で余裕たっぷりな顔を見せてきた。 そうしていた時、いつの間にかそばに寄ってきた大河が俊我の足にしがみついてきたかと思えば、膝に擦り寄せるように首を横に振っていた。 「大河が帰りたいようだ」 「あ、そう。じゃあ帰りましょうか」 呆気なく言う雅が立ち上がったのを機に、その後に続いて歩いていたが、手を繋いでいた大河がおぼつかない足取りとなり、眠たそうに目を擦っていた。 「大河、眠たいのか?」 俊我が立ち止まり、そう訊いたことで雅が「何? どうしたのよ」と立ち止まった。 俊我にとっては苛立ちの覚える、大河には怖いと思うには充分な物言いで全力で首を横に振り、歩きだそうとした。

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