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第2話
時計の2つの針は真っ直ぐと真上をさし皆に昼を回ったことを伝える。
それを確認した樵は本日のノルマをキリの良いところで止め、凛太郎の元へと歩いていく。
「泉、昼ご飯食べに行こうか。」
「あぁ、もうそんな時間なんですね。はい、行きましょう。」
これも樵の特権の1つで、最も有意義な時間と言ってもいいだろう。
何せ女性社員に絶大な人気を誇る凛太郎にとって昼は面倒臭い極まりなかった。
断ってもアタックが耐えないため、救済処置として樵に昼食は2人で過ごして欲しいと凛太郎からの頼みだった。
樵は断るという考えはなく快く承諾した。
そして、2人で昼を過ごすうちにおのずとアタックは止み、凛太郎にも快適な昼飯が提供されるようになった。
「今日何がいいかなぁ、俺米食べたいんだよねぇ。」
「それなら最近行ってないあそこの定食屋行きましょう。久々に生姜焼き定食が食べたいです。」
「っ!…あ〜いいねぇ!おばちゃんにも会いたいし行くか!」
この日は珍しく凛太郎から食べたいものが出てきた。
いつもなら「俺は何処でも」「好きなところでいいですよ」など中々要望が出てこなかった。
樵は深い青色の瞳を輝かせて、定食屋へ向かった。
「おばちゃーん!こんちは!」
「あらぁ!あんた達ひっさしぶりねぇ!」
「泉がここの生姜焼き定食食べたいって言ったから食べに来たんだよぉ。」
「嬉しいこと言ってくれるじゃない!じゃああそこのテーブルに座ってちょうだい!2人とも生姜焼き定食でいいのね?」
「あぁ、頼むよ!」
とても元気の良い接客の女性は食堂のおばちゃん。
家庭料理が上手くなかなか実家に帰れない社会人たちにとっての癒しの定食屋だ。
樵は高校生の頃から通っており常連客であった。
女性客が少ないからと凛太郎に進めていたが、どうやら凛太郎の舌にもおばちゃんの料理は大好評だったそう。
暫くすると2つのお盆をもってきた。
「はい、おまちどぉ。」
「お!きたきた。」
「ありがとうございます。」
「ところで樵ちゃん!あんた今日は随分いい事があったのね?顔に出てるわよ。」
「んなっ!!」
ちなみにおばちゃんには隠し事は通用しない。
2人は黙々と定食を食べるが、樵は顔を真っ赤にして心中は食事どころではなかった。
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