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第5話

飲み会の事件があって3日、また会社にいかねばならない月曜日に樵は朝起きて頭を抱えていた。 想い人である凛太郎に酔ってしまった勢いで胸の内を明かしてしまい、その結果身体を重ねてしまった。 幾ら好きであったとはいえまだ付き合ってもいない、ましてや会社の後輩に己のイチモツをしゃぶられて快楽に溺れ、自分からも積極的に求めてしまった。 そして喉の奥を乱暴に犯された事をオカズに、自宅に帰ってからの土日はずっと自慰で発散していた。 会社に向かえば通勤時と昼食時、共に二人きりになってしまう。 もうとても気まずいので通勤時間をずらし、昼食も一人で食べてしまおうとも思った樵だったが「流石に考えが子供過ぎる」と一生懸命にその考えを消し、何事も無かったように振る舞おうと決めて自宅を出たのだった。 電車に乗り、いつもの車両に乗り込む。 樵は周囲と同様、それ以上に憂鬱そうな顔をしてうつむいていた。 いつの間に時は過ぎていたのか、目線に良く磨かれた革靴が見えた。 「おはようございます。」 頭上から声が聞こえ肩が少し跳ねる。 顔をあげると何時もの綺麗な顔がこちらをじっと見つめていた。 樵はあの晩の事を思い出し、恥ずかしくなりすぐに顔を下げてしまった。 「お、おはよう…!」 早足で扉まで向かう。 凛太郎も後ろを付いていき、真向かいに立つ。 何時もなら気分が良くなる空間が、この時だけすぐに過ぎてしまえばいいのにと樵は思っていた。 真っ赤な顔でうつ向いている樵を目の前にしている凛太郎は静かに奥歯を噛み締めて何かを堪えていた。 会社に着くと細貝が話しかける。 「よっ!葛城、おはようさん!…って大丈夫か?いつも満足そうな顔してんのに今日はなんか様子がおかしいな。体調悪いのか?」 「ぇあ?!だ、大丈夫だ!普段あんま飲まないのに飲んだから少し引きずってんだよ。」 「そうか、まぁ無理すんなよ!よ!泉、ありがとな葛城を送ってくれて。」 「おはようございます。いえ、俺のせいであんな事になってしまったので…。あぁ、その事についてなのですが今日三人でご飯にいきませんか?丁度、レストランのチケットがあって…貰い物なんですが、どうですか?」 鞄から三枚のチケットをピラッと取り出す。 そのレストランは有名な高級レストランで、普段なら中々お目にかかれない物だった。 細貝と樵は目を丸くしてギョッとする。 「お、おい。そんな高級なとこ本当にいいのかよ…?他に大事な人に使ってやった方がいいんじゃねぇのか…?」 「俺はお二人に使いたいんです。」 「うーん…、どうする?葛城。」 頭を捻って樵に細貝は質問した。 質問を投げかれられた樵は、「えぇ…」と頬をかく。 チラリと凛太郎に視線を向けると、目があってしまう。 慌てて目線を反らして話し始めた。 「まぁ、泉がお礼したいって言ってくれてるんだ。ここは、お言葉に甘えて招待してもらった方が気持ちがいいんじゃないか?」 「そうか…ま、それもそっか!よし、じゃあ泉!ご相伴に預からせていただきますっ!」 「はい。では、仕事が終わり次第三人で向かいましょう。」 こうして、樵と細貝は凛太郎のお礼のレストランに出向かうこととなった。

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