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其の参・鬼、西瓜を食す。(7)
「私の名は小野木 蒼 。この子は心 と申します。主殿は、強欲な性格が災いし、おそらく餓鬼に堕ちてしまったのでしょう。餓鬼道に堕ちてしまった身体は救うことはできませぬが、魂は救えるかもしれませぬ。西瓜はございますか? あと、筆と硯。紙も――。できればすぐにでも用意をしていただきたいのですが……」
「あ、それなら屋敷にございます」
蒼は伊助に名を告げると、早速本題に入った。伊助は大きく頷いてみせた。
果たしてひょんなことから出会った陰陽師と共に、伊助は屋敷に戻ると、早速筆と硯に紙。それから西瓜を用意した。
蒼は、大人の頭ほどの見事な西瓜に筆で『伊助』と書いた紙を貼り、呪文を唱え、主の寝室に置いた。
それから夜具の隅に陣取ると、指で印を作り、伊助と猫又の心と共に息を潜めた。
「どこじゃ、どこにおる。喉が渇いた。伊助や……」
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