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誕生日おめでとう

俺の恋人は非の打ち所がないやつだ。 高身長、高学歴、仕事もほとんどミスがないし自信に満ち溢れている。料理も得意で、アイツの作るビーフシチューは天下一品だ。 今日はそんなアイツの誕生日だから、俺は日頃の感謝と祝いの気持ちを込めて誕生日ケーキを作った。 のだが、俺の目の前にあるのは見るに無惨な生クリームまみれの何かだった…。すぐに片付けようとしたらタイミング悪く本人に見つかってしまい、あまりの申し訳なさにいい歳した男が泣きそうになる。 「す、すまん…今日、お前の誕生日だから…こんな、なんも無い俺の恋人になってくれてありがとうって、思って…喜んでもらいたかったんだが…慣れないこと、するもんじゃないな。今からケーキ買って、…っ!」 気付けば、俺の唇はそいつに奪われ、抱き締められていた。 「俺のこと考えてやってくれたんだ、すごく嬉しいよ。お前のそういうところに惚れたんだ。ありがとう。」 「っ…うん、誕生日、おめでとう。」

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