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告白
「好きで、す…先輩……。」
「え、と…。」
僕は今、三十分前の自分を呪いたい。
終業式の日、美術室にある画材道具を持ち帰るついでにちょーっと眠くなったから誰にも見つからないような隅の方で寝てたら…同じ部活の女の子が部長に告白をしているところに居合わせてしまった。
(と、とりあえず…二人がいなくなるのを待とう。うん、それしかない…て言うかいるのばれたら終わりだ!!…でも、ちょっと気になる…だって憧れの部長だし…イケメンで、みんなに優しいし、どんなに下手な絵でも絶対良いところ見つけるし…。)
「その…気持ちは、ありがたいんだけど…俺、好きな人いるんだ。」
「え…だ、誰なんですか?」
「名前は教えられないけどね。」
「で、です…よね。すみません急に…。」
「ううん、勇気を出してくれてありがとう。俺はちょっと、ここで用事があるから先に帰ってて。」
(え、嘘…。あ、帰っちゃっ…た…。)
部長は出入り口を見つめながら声を張った。
「いつまで盗み見するつもりだ?」
「い、いつから…?」
「最初から。」
僕の目の前でしゃがんだ部長は、いたずらに笑って見せた。そんな部長に不覚にも、ときめいてしまった。心臓の音が蝉と混ざり合って余計にうるさく感じる。
「す、すみません…そんなつもりはなかったんですが。」
「まぁ、いいよ。俺の好きな人、お前だし…。」
鉛筆や絵の具が香る。
真夏の美術室で、僕は…部長に眼鏡を奪われた。
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